俺はいいけど嫁さんが・・
〜きょうだい仲良し!でも、結婚すれば事情が変わる
仲良し3人兄弟のA,B,Cさん。代々伝わる家と土地は当然長男Aさんが継ぐものであり、遺産争いなんてうちには全然関係ない!と皆が確信していました。
しかし時は過ぎ、それぞれ結婚して独立した後のこと。父親が亡くなり、唯一の遺産である不動産の相続手続をしようとしたとき、Bさんは妻に言われました。「なんでハンコ押すの?あなたにも権利はあるじゃない。」普段から妻に逆らうと大変な目にあってしまうBさん、勝手にハンコを押すことはできず、結局妻の言うとおりAさんに相続分相当の金銭を要求することになりました。でもAさんは数百万円もの代償金を払うことができず、手続は止まったまま・・・
お父さんの元気なうちに、遺言を書いてもらいましょう。
この手のトラブルは、お父さんが生前に遺言を書いておけば避けられることが多いです。有効な遺言書があれば、AさんはBさんたちの同意なくして不動産の名義変更ができますし、お父さん本人の意思が明確であればBさんの妻も反対しづらいでしょう。
もっとも「遺留分」には注意が必要です。これは子や親が相続人となるときに、遺言をもってしても奪えない一定の権利を民法が確保しているものです。今回のケースでは、「全部Aさんに相続させる」という遺言はBさんの遺留分を侵害しているので、Bさんが後から「遺留分減殺請求」をできることになります。しかしこれはあくまでBさんからの請求があって初めて認められるものであり、請求がない限りは遺言の効力に影響がありません。またBさんが請求したとしても、取り戻せる遺留分は本来の法定相続分の半分となります。